福島第一原発の敷地内のタンクに貯まる汚染水の海洋放出問題についてイギリスのディリー・テレグラフ紙が取り上げています。日本のメディアとは、少し取り上げ方が違うので興味深いです。
内部資料 ALPSが機能しないことを政府は把握していた
記事の内容ですが、汚染水の海洋放出には、様々なところから反対があること、多核種除去設備(ALPS)ではトリチウム以外の放射性物資も取り除けないことなどは、すでに日本のメディアで報じられています。
ただディリー・テレグラフの記事の興味深いところは、日本政府関係者から内部資料を入手した、と言っていることです。そしてその資料には、ALPSが継続的に不具合を抱えていたことは、東電のみならず政府も把握していた、と書かれていたようです。
海に与える影響は予測不能
米ウッズ・ホール海洋研究所のケン・ビュッセラー博士は、各タンク内に残る放射性物資の種類と量を正確に把握しなければ、汚染水の海洋放出が海に与える影響は予測できない、と言っています。
またグリーンピースのショーン・バーニー氏は、東電のトリチウムは事実上無害との説明に異議を唱えています。同氏によれば、トリチウムのベータ粒子は人体内では大半のX線やガンマ線より危険であり、海洋生物や食物連鎖で人間が摂取するトリチウムの長期的な影響については、確実な知識は非常に少ないそうです。このため東電による汚染水の海洋放出は、海洋環境及び人体に危険のない行為であるとは言えない、としています。