米海軍兵曹、トランスジェンダー・ボディビルディング・コンペティション優勝

navytime.comに出ていた話。いい話なので訳しておきます。タイトルと、この記事の主人公とが微妙にずれているのが面白い。


アトランタ発。
 参加者の一人、チャールズ・ベネットさんは競技歴20年のベテランだが、今回は、世界唯一のトランスジェンダー・ボディビルディング・コンペティションに男子として参加するという、人生で初めての挑戦。他の7人の参加者と一緒に、土曜日にアトランタの劇場で行われた国際トランス・ボディビルダー協会主催の恒例競技会の舞台に立った。2014年から行われているこの大会には、「アメリカ全土は言うに及ばず、ロシアからの参加者までいます」と実行委員長兼審査員長のバッキー・モッター氏。
 参加者はライト級、ミドル級、ヘヴィ級、マスターズ(60歳以上)の4部門に分かれて、筋肉の大きさ、輪郭、プロポーション、均整度及び観客へのアピールの5つの審査基準から評価される。
 参加者中最も競技経験のあるベネットさんは、「自分の役割は、競技者というよりはコーチ」と割り切り、舞台裏でポーズの指導に始まり、食事から験担ぎにまでわたるウンチクを披露。さらにピーター・ムーアさん(加州オークランド)が2年前に男性に性転換したときに切除した胸の手術痕にフェイク・タンを丁寧に塗り込むのを手伝う。
 ほとんどの参加者は、今回が初めての競技会。同じく加州オークランドから参加したサンディー・ベアードさんは「フェイスブックで宣伝されているの見て参加を決めた」そうだ。「ボディービルにずっと興味があったのですが、無性別の人にはなかなか機会がなかった」と言う。
 「ビキニトップなしで競技できて本当にうれしい」と、サンフランシスコから駆けつけてマスターズ級に参加したベネットさん。ほのかにきらめく効果のフェイク・タンをつけながら、「私が女子で競技していたときには、こういうことはありえませんでした。トランスジェンダー・ボディービル・コンペティションなんて夢のまた夢でした。そんなもの聞いたこともなかった。」
 ベネットさんと31年連れ添う奥様のエリカ・グレイスさんが客席で見守っていることも、ベネットさんが56歳のときに性転換して以来初めて参加した今大会を忘れ難いものとした。「妻は、私が男子で競技するのを見るのは初めてなんです。感無量です。一生の夢がかなって本当にうれしいです。」
 小劇場に音楽が響きわたると、競技者は各自審査員から要求されたポーズをとる。グレースさんは最前列に陣取り、写真を撮ったり声援を送る他の奥様方と一緒になって、ご主人に歓声を上げる。「主人、本当に立派でしょう。私の良き見本です。」とグレイスさん。収容人数一杯の数十人の観客が、大会会場を満たした。
 今大会の総合優勝者は、海軍から参加して、ビヨンセの「Mine」(ドレイク参加)を使ったパフォーマンスでミドル級を制した、ウェス・フィルズ二等兵曹(ニューヨーク州ブルックリン)だった。


 アメリカの海軍というのは、昔はかなり保守的なところだったうえ、最近は事故続きで評判が芳しくなかったのですが、こういう人が出てくるようになったとは、まだまだ捨てたものではありません。