あまりに排外的であると、制作姿勢への疑問や不満が噴出して炎上騒ぎとなったフジテレビ系「タイキョの瞬間!密着24時~出て行ってもらいます!」。この番組が10月26日にアメリカのラジオ放送でも取り上げられていました。
10月26日にアメリカのラジオ放送で紹介された「タイキョの瞬間!」
長さ5分間程の「パブリック・ラジオ・インターナショナル」の報道は、ネットニュースメディア「グローバル・ヴォイスGlobal Voices」の日本担当記者ネヴィン・トンプソン氏にインタビューする形で進められました。
身の毛もよだつ扇情的で安っぽいテレビ番組 (4分23秒)
内容は「タイキョの瞬間」を英語圏のリスナーにわかり易く解説することが中心です。
「タイキョの瞬間」に関しては、典型的な娯楽リアリティー番組に分類、同じフジテレビ系の「逮捕の瞬間!密着24時」という番組と関連していると指摘、世界中で似たような番組があるとも言っています。そういった番組は「悪趣味」とバッサリ。
番組の印象については「ゾッとする」。日本の厳しいプライバシー保護のため顔を写すことができないので、約1時間半の間ほとんどぼかしがかかった映像と変化させられた音声で奇妙な感じを受けるとも指摘しています。
続編制作の見通しについては、番組に全面協力した入国管理局が「庁」に昇格することで予算も増えるからPR拡大もありうると予測しています。
SNSなどでの炎上騒ぎについては、日本で反人種差別運動が盛んであると指摘、やがてメインストリームメディアも取り上げるようになったと言っています。トンプソン氏の個人的な感想としては、外国人に対する偏見に訴える、「身の毛もよだつ扇情的で安っぽいテレビ番組」と結論づけています。最後に、全世界的にトランプ大統領やブレグジットに見られるように国民の不安が高まっている中で、自分たちの安全を守るために働いている人達を見ると、安心感が得られるのでは、と締めくくっています。
10月10にはネットニュースサイトでもすでに紹介されていた
このラジオ番組放送前の10月10日にトンプソン氏は「グローヴァル・ヴァイス」のサイトに「タイキョの瞬間」の紹介記事を書いています。そこでは茂木健一郎氏のツィートなどが紹介されていました。
フジテレビ「タイキョの瞬間」は、今の日本の地上波テレビの、何事も深く考えず、批判的思考のかけらもなく、表面的なちゃらちゃらしたエンタメにしてしまうという愚劣さが、最悪のかたちで表れた番組だと思います。国際的な恥です。— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) October 8, 2018
こんな地上波テレビなんて、一秒たりとも見なくていい。
イギリスでは税金で番組制作、カナダでは制作打ち切り
トンプソン氏の記事でも言及されていますが、イギリス、オーストラリアやカナダを含む英語圏では国境警備隊や入国審査官に密着するドキュメンタリー番組は多数制作されて話題になっています。イギリスでは内務省がスカイの番組制作に税金を注ぎ込んでいたそうです。カナダでは同様の番組が2016年にプライバシー侵害の指摘を受けて、制作打ち切りになりましたが、それまで制作放送されたエピソードは再放送されネット配信もされているそうです。ディスカヴァリー・チャンネルは12月5日から6回にわたってアメリカ=メキシコ国境をテーマにした「ボーダー・ライヴ」を放送する予定です。
日本では一回こういう番組を制作しただけでここまでの騒ぎになるのですから、これからもっと外国人を受け入れていくことになったら、どうなるのか少し心配になります。
参考
Japanese TV program turns migrant raids and deportations into entertainment