トルコ大統領、カショギ氏殺害はサウジ政府「最高レベル」の指示

Recep Tayyip Erdogan 2017
 
トルコのエルドアン大統領は11月2日付の米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ(ジャマール・ハーショグジー)氏の殺害事件はサウジ政府の「最高レベル」の指示によるものであり、一部のサウジ政府関係者が隠蔽工作を行ったとの考えを示しました。

ポスト紙の「グローバル・オピニオン」欄への寄稿で同大統領は

トルコとサウジが長年にわたり友好な関係を維持してきたからといって、我々の眼前で起こった計画的な殺人に目をつぶる理由にはならない。カショギ氏殺害の裏で糸を引いた人物を突き止めねばならない

と主張しましたが、隠蔽工作を行っているサウジ政府関係者の名前や新しい証拠は挙げませんでした。
 エルドアン大統領はサルマーン国王が殺害を指示したとは一度たりとも考えたことはないとし、ムハンマド皇太子を直接非難することも控えました。しかしながら同大統領の思惑が、ムハンマド皇太子の地域政策と相容れず、個人的にも仲が悪いことはよく知られています。


イスラエル、サウジ支持を公式に表明



一方、これまで沈黙を守ってきたイスラエルのネタニヤフ首相は、11月2日訪問先のブルガリアでカショギ氏殺害に言及し、イスタンブールで起こったことは恐るべきことで然るべき処置が取られるべきではあるが、中東地域や世界の安定性のためにはサウジ政府が安定していることが重要であるとして、サウジへの理解を示しました。

すでに報じられていますが、イスラエルはアメリカ政府高官に対して、アメリカが中東でイラン対策に集中するため、サウジアラビアは重要な戦略的パートナーであるとの見解を内密に示していました。ネタニヤフ首相はカショギ氏殺害に関しても、イランの方がより重要な問題であり、イランの有害な活動を阻止することが優先されるべきとの考えを示しました。イスラエルは、イランへ対抗するためと、パレスチナ問題解決を有利に進めるため、近年サウジを始め中東諸国との関係を改善させており、今回の対応もその戦略にのっとったものと思われます。

参考



Erdogan says order to kill Khashoggi ‘came from the highest levels of the Saudi government.’