【ウクライナ情勢】 ウクライナ戒厳令布告=28日から国土の一部に

ウクライナ議会は26日、同国のポロシェンコ大統領が提案していた、ロシアに隣接する地域における1ヶ月間の戒厳令を承認しました。写真はウクライナ陸軍の女性兵士。





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図上:オデッサを出港してから拿捕されるまでのウクライナ船団の航跡
図下:ウクライナ東部で親ロシア反政府勢力が占拠している地域

今回の戒厳令は、ロシアが一方的に編入したウクライナ南部クリミア半島周辺の黒海海域で25日、ウクライナ海軍艦艇3隻が、ロシア国境軍の攻撃を受けた後、拿捕されたことを受けて、両国の関係が緊張してきたのを受けての措置です。 この衝突で負傷者6名を含む合計23名のウクライナ海軍将兵がロシアに拘束されました。
写真は拿捕されたウクライナ海軍艦艇と、拘束された乗員


ウクライナ政府は、船団の行動はロシアに事前に通知してあったと主張しています。一方ロシア政府は、ウクライナ船団が領海を侵犯したとしており、両者とも相手方に非があると譲らないでいます。 

欧州連合はロシアを非難すると同時に、慎重な対応を求めています。

 北大西洋条約機構(NATO)はウクライナの主権と領土の保全を全面的に支持するとしています。

ニューヨークでは国連が安保理の緊急会合を開きましたが、ロシア側の提案と同国を非難する西側諸国との間に一致点が見出せず、物別れに終わりました。


ウクライナ大統領「ロシア侵攻の恐れ」

ウクライナのポロシェンコ大統領はテレビ放送で、「ロシアが侵攻してくるおそれがある」として強力なリーダーシップの必要性を説いた上で、基本的な自由を制限することはないと確約して、国民に戒厳令への理解を求めました。

すでに紛争地域に近いドネツク州では子供まで駆り出して、塹壕を掘り始めているという報道もあります。


ウクライナ議会では26日、276名の議員が戒厳令に賛成票を投じました。反対は30票だったそうです。写真はウクライナ議会の前でデモをする極右政党「国家団(National Corps)」党員たち。


11月28日から30日間の戒厳令が導入されるのは以下の地域です

  • ロシアと国境を接する9つの地域
  • モルドバ共和国からの独立を主張する「沿ドニエストル共和国」に隣接する地域
  • アゾフ・ヘルソン水域
戒厳令の布告により政府は政治集会や報道を規制することが可能になります。来年3月の大統領選で再選が難しいとされるポロシェンコ大統領が、これを利用して大統領選挙も延期するのではないかと恐れる議員もいました。

一方キエフのロシア大使館の前には昨日からロシアに抗議するウクライナ人の群衆が集まり、放火や投石行為に及んでいます。


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