11月1日、米紙ワシントン・ポストは、サウジアラビアのムハンマド皇太子がトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で10月2日に殺害されたサウジ人記者ジャマル・カショギ(ジャマール・ハーショグジー)氏について、トランプ大統領の娘婿クシュナー大統領上級顧問やボルトン大統領補佐官との電話会談で「危険なイスラム主義者だ」と述べていたと報じました。
同紙によりますとこの電話会談はカショギ氏の行方が分からなくなった10月2日の数日後に行われたとのことです。皇太子はこの会談で、クシュナー氏とボルトン氏に緊密な米サウジ関係を維持するよう求め、カショギ氏はサウジがテロ組織とみなす政治的イスラム組織「ムスリム同胞団」のメンバーだと主張しました。この会談の内容を知悉する人物がポスト紙に語ったところによれば、ボルトン氏はカショギ氏に関する皇太子の意見に賛意を示さなかったそうです。
カショギ氏の親族はポスト紙に寄せた声明で、「カショギ氏は過去何年間もの間そのような事実はないと言ってきた」と、同氏が「ムスリム同胞団」に所属していたことを否定しました。しかしながらカショギ氏が「ムスリム同胞団」に親近感を抱いていたことは、カショギ氏を個人的に知っていた人がドイツの新聞に語っています。こちらの関連記事をご覧ください。
一方サウジアラビア政府はムハンマド皇太子がそのような発言をしたことはなかった、とポスト紙の報道を否定しています。
クシュナー大統領上級顧問はムハンマド皇太子と親交があり、トランプ大統領に中東問題等でアドバイスをしています。昨年米国がサウジと結んだ1100億ドル(約12兆円)相当の武器を輸出する合意を積極的に推進したのもクシュナー氏であると言われています。
ポスト紙はさらに、エジプトのアブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ大統領が最近行われたトランプ政権高官との電話会談で、中東地域の重要な戦略パートナーであるムハンマド皇太子を支持するよう求めた、と報じています。
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参考
Saudi crown prince described journalist as a dangerous Islamist in call with White House, officials say