従軍慰安婦支援Tシャツを作るMARYMONDとはどんな会社?

MARYMOND

 大みそかの『NHK紅白歌合戦』に、2年連続で出場することが決まった多国籍女性アイドルグループTWICE。そのメンバーであるダヒョンが「慰安婦支援Tシャツ」を過去に着用していたことが発覚して、現在物議を醸しています。この「慰安婦支援Tシャツ」を製造販売している会社MARYMONDについて、英字紙に書かれていることを中心にご紹介します。




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    MARYMONDはただの従軍慰安婦支援団体ではない。



     MARYMONDは2012年10月に創設されました。同社の創設者、最高経営責任者にしてオーナーのユン・ホンジョ氏は高麗大学校で経営学を学んで2005年に卒業した30代若手企業家です。
     横道にそれますがユン・ホンジュ氏の父親は、韓国で長年ミュージカルの演出を手掛け「ミュージカル界の父」と言われるユン・ホジン氏だそうです。同氏は今年2月、従軍慰安婦問題をテーマにした新作「ワンズデイ」の制作中にセクハラ疑惑が持ち上がり、謝罪に追い込まれました。このときMARYMONDのホンジュ氏も同社ホームページに「家族内にこのような問題があることに気付かず、自身の事業に没頭していたことを深く反省する。今回の問題により、MARYMONDスタッフをはじめ、日本軍性奴隷問題解決のために努力する人たちが傷付かないことを願っている」などとする文章を掲載して、物議を醸したそうです。
     さてこの会社の目的は「デザイン・コンテンツによって人間の尊厳を回復すること」にあるそうです。この言葉を信じるとすると、この会社は広い意味において社会問題の解決を目的として収益事業に取り組む「社会的企業」ということになるかもしれません。
     最高経営責任者のユン氏は学生時代にクラブ活動で慰安婦博物館を訪れ、慰安婦の方々と面会もなさっているそうで、MARYMONDは従軍慰安婦の支援団体ではなくファンクラブのようなものであると述べています。また慰安婦の方々を人権活動家としてみなすべきだとも言っています。
     そうはいっても収益を上げることが目的の企業であってボランティアではありませんから、従業員にも良い給与が支払われています。創造的な商品や革新的なアイデアを生み出すには高い生活の質が求められるため、従業員にはその業績に見合った報酬が支払われ、職場環境の充実にも投資を惜しまないそうです。
     従軍慰安婦はこの会社の創業時からのパートナーだということです。この他にも「自分探し」であるとか育児学校の活動も支援しているようですが、一番儲かっているのは従軍慰安婦関連商品のようです。問題となったTシャツを始め、スマホケースや文具等を販売しています。
     2015年ごろから、アイドルグループmiss Aのメンバーであるペ・スジを始め多くの有名人が使うようになって売上が急増。2014年から2016年の間に売上高が10倍になっています。ちょうど日韓間の慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した日本政府と大韓民国政府の合意が成立したときと重なっています。
    この会社は企業であって純粋なチャリティーではありませんから営業収益の半分が最高経営責任者ユン氏が所属する財団への寄付に回されているだけです。会社の経営者が自分の影響力の及ぶ財団に寄付をすることは珍しいことでもなければ、取り立てて褒めるようなことでもありません。


    寄付の行く先は挺対協関連財団。

    日本大使館前の慰安婦像

    しかしここからが問題です。The Korea Timesによりますと、この寄付される先の財団はMARYMOND最高経営責任者ユン氏が所属する財団で、しかも韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)関連の財団なのです。挺対協は在韓日本大使館前での定期的なデモ活動(水曜デモ)や各地への慰安婦像設置運動などを行っていた団体です。2018年7月に「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」と合併、新組織「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」となりました。
     挺対協は韓国国家情報院からは「北朝鮮工作機関と連携し、北朝鮮の利益を代弁する親北団体」として監視を受けており、産経新聞や読売新聞からは反日団体、親北朝鮮団体と指摘されていました。詳しくはウィキペディアをご覧ください。
     要するにMARYMONDが慰安婦支援に献金していると言っても、その献金先はMARYMOND最高経営責任者の影響が及ぶ財団に過ぎないのです。しかもその財団は日本との和解を求めるのではなく、むしろ対立を煽るような団体に協力しているわけです。
     挺対協に流れた資金は抗議デモに必要な物品の購入、慰安婦の家の維持、慰安婦が海外での集会に参加するための飛行機代などに使われているそうです。
      また2016年にはMARYMONDで製作、販売した「平和の少女像」バッジ、ブレスレットなどの収益金約2億4千万ウォン(日本円約2400万円)を「日本軍性奴隷制問題解決のための正義・記憶財団」の設立基金に提供しているそうです。「正義記憶財団」は2015年の日韓慰安婦合意に対抗し、元慰安婦を対象に独自の福祉事業を行うために設立された財団です。前述のように挺対協と合併して新組織となりました。
     いずれにしてもMARYMONDの献金は慰安婦の支援とは名ばかりで、全て日韓慰安婦合意に反対する勢力に流れているのです。


    華人系対日強硬派団体ともつながりがある。



    さらに韓国ばかりでなく、中国、台湾、フィリピンにも進出し、進出先の慰安婦にも資金援助を行っているそうです。この関連で中国人・朝鮮人・フィリピン人の元慰安婦に取材した「THE APOLOGY」というドキュメンタリー映画(2016年カナダ)の制作チームとも接触があったようです。 この映画の監督は、トロント市内で活動するティファニー・ション(Tiffany Hsiung、熊邦琳)氏という台湾系の華人女性だそうです。映画自体はカナダ・トロントの保守系歴史問題啓発団体「トロント・アジア第二次世界大戦史実擁護会(略称ALPHA)」の全面的バックアップを受けて制作されたものですが、このALPHAという団体は、カナダで対日歴史問題強硬派の立場から政府に圧力をかける華人団体のようです。ALPHAについて詳しいことは安田峰俊氏の書かれた記事をご覧ください
     こういったことからMARYMONDという会社は普通の社会的企業ではないことは明らかだと思います。ここでこの会社の社名の意味と、そのメッセージが重要になってきます。


    MARYMONDには政治闘争的メッセージが含められている。


    Vincent van Gogh - Almond blossom - Google Art Project 
    (上図:ゴッホの「花咲くアーモンドの枝」)

    MARYMONDの花柄のデザインは最高経営責任者ユン氏が前述の学生時代に慰安婦の方が作られた押し花を見たときにインスピレーションを得たものだそうです。
     MARYMONDの意味ですが、スペイン語で蝶を意味する「mariposa」とゴッホの名画「花咲くアーモンドの木の枝」の「almond」を組み合わせた造語で、蝶が花にとまって希望が湧き出づることを象徴していると解説されています。さらに「i marymond you」で「きみを大切に思っているよ」の意味であるという解説もあります。
     しかしこの一見平和的なメッセージには希望や愛とは異なる意味も含まれているのです。たとえば2016年9月に防弾少年団BTSのメンバーのVが「i marymond you」と書かれたTシャツを着た写真に関して、BTSのファン集団Armyの一人は次のような解説を付けています

    MARYMONDのTシャツを着るBTSのV

    「i marymond you」は第2次世界大戦で日本の将兵の性奴隷となることを強制された韓国女性への支援を明示することを意味します。この事実をVも知っていて、世界の人々とArmyに拡散しようとしています。戦え! 
    「i marymond you」というメッセージには慰安婦に対する支援を顕示し、世界に発信していこうという政治闘争的意味が含まれているとファンには見なされているのです。


    日本のツィッターに見られる誤解。



    ツイッターではMARYMONDを元慰安婦を支援する社会事業を行っている団体だと誤解して擁護する人たちも見られます。
    きれいなデザインが受け容れられやすいのは理解できることです。社会的企業という看板で慰安婦のために資金が使われていると、簡単に弁護士でも騙されるのです。ダヒョンもあまり考えないで着ていたことは、原爆Tシャツのときと同じで十分考えられることです。
     しかしそれだけに、きれいなデザインと社会的企業という美名に隠蔽されて、裏でMARYMONDが資金を提供している団体の活動や、その根底にある偏った考え方が受容され推進されていくことが憂慮されるのです。防弾少年団BTSのナチスのシンボルや原爆Tシャツと同じか、それ以上に問題のあることだと思います。


    参考リンク



    KU People Recovering Human Dignity with Three Words, “I Marymond You”
    South Koreans buying floral-print products in support of sex-slave victims
    (Yonhap Interview) Marymond, voice for ex-sex slaves, aims global reach
    Entrepreneur tells stories of comfort women