海外の反応 防弾少年団BTSナチス・原爆Tシャツ問題 ユダヤ人権団体が謝罪要求


原爆キノコ雲の画像が印刷されていたTシャツを着ていたことが問題視され、日本の音楽番組への出演が軒並み取りやめになった韓国の男性音楽グループ防弾少年団BTSについて、国際ユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・米ロサンゼルス)は11日、「非難する」との見解をホームページに載せました。この文章は防弾少年団の原爆Tシャツをナチスのシンボル利用と同じものとみなし、「過去の記憶」を冒涜し「歴史の教訓」を抹殺しようとするもので、「偏狭な信条や不寛容な態度」を助長するものであると厳しく非難しています。言い換えれば、防弾少年団BTSとそのマネジメントのやっていることは、右翼、(国を愛することとは区別される)国家主義、歴史修正主義、人種差別主義と同じ考え方に基づいたものである、ということです。朝日新聞(電子版)などでも紹介されていますが、残念ながら原文に見られる強い非難の姿勢があまり表現されていません。ここでより詳しく紹介したいと思います。

関連ニュース
防弾少年団 ベルリン・ユダヤ人虐殺記念碑で無断撮影か
海外の反応 防弾少年団BTSの原爆Tシャツ、ついにBBC、CNN、NYTも報道
防弾少年団BTSマネジメント会社ビックヒット、「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」に謝罪
従軍慰安婦支援Tシャツを作るMARYMONDとはどんな会社?




    Simon Wiesenthal Center, Los Angeles


    「原爆犠牲者を嘲笑するTシャツのため日本出演が中止になった有名韓国バンド、ナチス親衛隊ドクロ徽章で写真撮影、コンサートでナチスに似た旗を振る」



    この文章は冒頭から「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が防弾少年団BTSを非難すると明言しています。
     その上でユダヤ教の宗教的指導者、学者で同センター副センター長(国際社会運動課長兼務)であるエイブラハム・クーパー師がBTSを厳しく非難する言葉を紹介しています。
    日本で長崎原爆の犠牲者を嘲笑するTシャツを着て見せたことは、このバンドが過去を嘲り笑いを取ろうとしていることを明らかにする最新の一例にすぎない。
    なお原文が「長崎原爆」としているのは、問題の原爆Tシャツにプリントされているキノコ雲が長崎原爆のものであることを指していると思われ、誤って広島を忘れたものではないことは明らかでしょう


    Atomic bombing of Japan
    (写真上:原爆Tシャツ。写真下:原爆のキノコ雲。左が広島、右が長崎で撮影されたもの)

    次に「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は、防弾少年団BTSが2015年にナチス親衛隊ドクロを記した帽子をかぶって写真集撮影をしていたことを指摘しています。ここで同センターが掲載したハイパーリンク先は、ベルリン・ユダヤ人虐殺記念碑で無断撮影された画像も引用しており、暗にこの事件にも言及しているものと思われます。
    さらにクーパー師は日本国民のみならず、世界でナチスの犠牲になった人々への謝罪を要求しました。
    同バンドのコンサートで使われた旗は不気味なまでにナチスのスワスチカ(逆卍)に酷似している。国連に招待されてスピーチまでしたグループであるだけに、日本国民とナチスの犠牲になった人々に謝罪しなければならないことは言を俟たないであろう。
    さらに防弾少年団BTSのマネジメントやプロモーションを担当する会社にも非難の矛先は向けられ、謝罪を要求しています。
    だがそれだけでは十分ではない。このグループのキャリアを企画して売り込んでいる人たちは、過去の記憶を汚すことに何の良心の呵責も感じていないことは明らかである。その結果、韓国や世界の若い世代をして偏狭な信条や不寛容な態度を「クール」と思わしめ、歴史の教訓を抹消する動きを助長することになるのである。表に出てパフォーマンスをするグループだけでなく、このグループのマネジメントを担当する人々も謝罪しなければならない所以である。
    「サイモン・ウィーゼンタール・センター」はまだ把握していないかもしれませんが、最近日本のネットでは、防弾少年団BTSの公演で流れた原爆ブルゾンも指摘されており、原爆Tシャツは何かの間違いではなく、このグループとマネジメントが原爆のイメージを意図的に売り込みに利用していることは明らかです。「過去の記憶」、「歴史の教訓」 という言葉は、ドイツを引き合いに出して、「慰安婦」や「南京虐殺」を取り上げて日本に謝罪を要求する人たちが好んでよく使う言葉です。また「偏狭な信条や不寛容な態度」と訳してみましたが、原文のbigotry and intoleranceという言葉は、トランプ大統領やその支持者を非難するときによく見られた言葉でした。防弾少年団BTSの原爆Tシャツやナチスのシンボルを擁護する人たちは、これらの言葉を真摯に受け止めるべきものだと思います。


    英紙ガーディアンが早速報道。韓国の反応



    日本の音楽番組への出演キャンセルをいち早く取り上げていたイギリス「ガーディアン」紙も早速このニュースを取り上げています。同紙(電子版)の記事は上記の「サイモン・ウィーゼンタール・センター」クーパー師の声明とその背景を説明した後、文化批評家のイテクグァン慶煕大教授の解説を載せています。「ガーディアン」は左寄りの新聞ですが、そこで防弾少年団BTSのアイデンティティーは韓国に蔓延する国家主義に根ざしたものであると書かれるのは、重大問題です。


    イテクグァン慶煕大教授、若い韓国人は反動主義、国家主義的



    同教授は「ガーディアン」への回答で、今回の事件は、強力な国家主義的心情と国際社会への進出を宥和させるのに苦慮している現代韓国を象徴するものであると指摘しています。
    BTSは世界ブランドであると主張しているが、そのアイデンティティは、多くの若い韓国人と同じく国家主義に根ざしたものである。
    さらにこの国家主義によって日本の朝鮮半島統治時代の集団的記憶が形作られているとも言っています。BTSの問題については「サイモン・ウィーゼンタール・センター」同様
    これは若いバンドがバカなことをやっているという話ではすまない。
    という見解。韓国ではナチスのシンボルを使用することが他の国ほどには非難されないという風土を指摘した上で、
    若い韓国人はリベラルで世界主義(コスモポリタン)のように振る舞っているが、その下にはより強力な反動的要素が渦巻いている。
    と韓国社会にはびこる国家主義を明らかにしております。要するにこのブログのコメントにもありましたが、 韓国人はみんなこういう考え方だということです。
     このような多くの韓国人におもねるかのように、韓国政府与党「共に民主党」報道官は日本の番組出演見合わせに関して、「政治的理由」で出演を見合わせるのは不適切であるとの見解を示しました。野党の自由韓国党「日本の不寛容な文化相対主義と島国的歴史意識に遺憾の意を表する」としています。しかしながら、防弾少年団BTSの世界進出も考えれば、ことは日韓関係に限定されないことはもう明らかでしょう。