【ウクライナ情勢】ロシア、海上封鎖を一部解除

マリウポリ港で沿岸警備艇の歩哨に立つウクライナ兵
ウクライナ政府は4日、11月25日のウクライナ艦船拿捕(だほ)事件以来封鎖されていたケルチ海峡の通行が可能となり、アゾフ海の港湾都市ベルジャーンシクとマリウポリにおけるウクライナ船の出入港が一部可能になったと発表しました。


    ウクライナ・インフラ省及び農業省、通行の一部再開を発表


    ウクライナのオメリヤン・インフラ大臣は4日「ベルジャーンシクとマリウポリの封鎖は一部解除された、ケルチ海峡を通ってのウクライナの港への船舶の出入港が可能になった。依然としてロシアによる臨検は行われているが通行は一部回復した」と語りました。

    同時にウクライナの農業省も、アゾフ海からの穀物の輸送が通常に復帰したとの声明を出しました。

    ウクライナ船舶に対する臨検は、11月にケルチ海峡を封鎖する以前からロシアは実施しており、ウクライナ政府は水面下の封鎖であると非難していました。臨検のため出入港が遅れると、船主にとっては一日あたり最大1万5000ドル(日本円約169万円)の追加コストがかかると言われています。


    NATO外相理事会、ロシアを非難


    今回の封鎖解除に関して、目下の時点ではロシアからのコメントは特にありません。しかしながら4日にブリュッセルで開かれたNATO外相理事会はロシアに対して、拿捕されたウクライナ艦船と乗員の即時解放と、ウクライナの港への通行の自由の回復を要求していました。ただし、現状以上の軍事援助がウクライナに対して行われる可能性には一切言及しませんでした。


    ポンペオ米国務長官、ロシアに60日の期限付きでINF遵守を要請


    同時にNATO外相理事会に参加するためブリュッセル入りしていたポンペオ米国務長官は、ロシアが60日以内に中距離核戦力(INF)全廃条約違反をやめない場合には、アメリカは同条約を破棄すると表明し、ロシアに最後通牒を突き付けています。ポンペオ米国務長官は声明で、ロシアが条約に反して新型の地上発射型巡航ミサイルのテスト及び配備を続けていることを指摘し、ロシアが60日以内に完全に検証可能な形で条約遵守に復帰しなければ、アメリカも条約遵守を停止すると発表しました。

    射程が500km(300マイル)から5,500km(3,400マイル)までの範囲の核弾頭、及び通常弾頭を搭載した地上発射型の弾道ミサイルと巡航ミサイルの廃棄を定めた同条約が破棄された場合、ヨーロッパに再び核ミサイルが配備される可能性が生じます。

    60日の期限が切れた直後に配備が開始されると仮定しますと、来年の2月からということになり、欧州における軍拡が危惧されています。


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    参考リンク


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